好きだとバレてしまったなら。

自分のことを好きと知ったしょーり君

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放課後の教室、いつものメンバーで恋バナで盛り上がる。

[○○、好きな人はいるの??]

「…っと、」

[その感じは居るんだね。誰??]

「ええ、言わなきゃダメなの?」

[当たり前ー。笑]

笑って流そうとしたのに、言わなきゃいけないみたい。
「しょ、りくん。」

[え?佐藤?!]

「そう。だって、優しいし、勉強も出来ちゃうし。何より、笑顔。いつも笑ってる。勝利くんの笑顔が好きなの。」
気がつけばそんなことを言っていた。

[ふふ、大好きなんだね。でも、佐藤ってさ話しかけられたら話すけど、佐藤から話しかけてるのって、、○○だけじゃない?]

「そう??」

[気がついてなかったんだ笑 ○○らしいね。]
そんな会話をしていたこと、その内容を勝利くんが聞いてたなんて気が付くはずもなかった。


次の日の昼休み
『ねね、○○ー。』
前の席に後ろ向きに座って話しかけてきた彼は、
私の好きな人。

「ん??」

『○○の好きな人ってさ、、』
私に顔を近づけ、小さな声で言われる。

『俺なの??』

「…!」

『あっ、本当のことだったんだ。』

「…好きじゃないよ、、」

『じゃ、何で泣きそうなの。俺の方、見てよ。』

「やだ、、」
彼に自分の席に戻るように言う。
目の前から居なくなった彼、寂しく思うのはきっとそれだけ好きな証拠。


LINEを開けば、勝利くんからの返信。
トークを開くけど、いつものように出来ない。
サーっとスクロールすれば、途絶えることなく続いていたことを知った。
あんな態度をとった上、普通に接することも出来ない。
その次の日から、勝利くんと話すことも無くなった。
そんな生活を一週間過ごしたときに
ふと思い出した、親友に言われたあの一言。

"佐藤から話しかけてるのってさ、○○だけじゃない??"

「そんなことないじゃん、」
見てみれば、クラスの中でも可愛いって言われてる子に話しかけてる。
見たくなくて、席を立って屋上に向かう。
毎日、話しかけてくれてたから気にならなかっただけなのかもしれないけど、好きな人と話せないことがこんなにも辛いなんて…

屋上への扉を開ければ、天気は快晴。
そのまま踏み込んで、ドアから離れた陽当たりの良い場所に座って空を見上げる。
「…雲1つないな、私の心と反対だ」

『…ほんとだね。』
声のする方を見れば、勝利くんがいた。

「…し、、佐藤くん。どうしたの。」

『ん?○○の席の方から、椅子の引く音が聞こえて、見てみたら走ってどっか行っちゃうから。』

「…そう。私もう戻るね。ごめん。」

『待って、、それはなにに対しての「ごめん。」なの。』

「たくさん迷惑かけたから。」

『迷惑かけられてないよ。俺の方こそ、ごめん。』

「謝らないでよ、、ほら!ただのクラスメイトだし!!ね??」
これ以上彼といると、好き。と言ってしまいそう。
パッと立って、扉の方に歩こうとすると、後ろに引っ張られてそのまま彼に抱き締められる。

「ねぇ、離して。佐藤くん。」

『やだ。離さない。振りほどかれたら追いかける。』

「何で、、どうしてなの。ズルいよ、、」

『どうしてだろうね。笑笑 ズルいのは○○だよ。』

「佐藤くんなんて、好きじゃない。クラスメイトなだけ。」
そう言ったのは突き放すため。自分に言い聞かせるため。

『俺は、そう思ってないよ。』
よりきつく抱き締められる。

「ちょっと、苦しい、」

『苦しいだなんて言われても、緩めるつもりないよ?』

もう言ってしまおうか、この気持ちが好きな人自身にバレているなら…結果も目に見えてる。
言わないままの方が嫌かもしれない。
「そっか、、あのさ、佐藤くん。」

『ん??』

「私ね、佐藤くんのこと好きだよ。」

『ふふ、知ってるよ。』

「それだけ…」
少しだけ緩くなった腕からすり抜ける。
そして、そのまま駆け出す。
ある程度走って、立ち止まる。

「…嘘つき。勝利くんのバカ。」
さっき彼は、振りほどかれたら追いかける。って言った。その言葉に少し期待してた自分。勝手に期待して、してもらえなくて悲しくなる。

「ううっ、勝利くん。すき。」
小さく呟いた言葉は、一瞬で消える。
自分の目から溢れる涙の量はどれだけ好きなのか表してる。

人気のない廊下に1人うずくまり声を抑えて泣く。
遠くの方で、誰かの足音が聞こえる。見られたらやばいと思い立ち上がる。


だんだん近づく足音が、突然止まった。
そして息の切れた勝利くんの声。
『いたっ、、はぁ、見つからなかったらどうしようと思った。』

「…勝利くん。」
ふわっと彼の香りに包まれ、頭を撫でられる。

『言い逃げなんて、やっぱり、○○はずるいね。』
ぎこちなく彼の背中に腕を回せば、上から可愛い、だなんて声が聞こえた。

『さっきの告白の答え言っていい?』
彼の腕のなかで、コクコクと頷く。

『俺も好きだよ。やっぱり、○○と話してる時間が楽しい。だから、俺と付き合ってください。』

「へ、、」
顔を上げれば耳まで真っ赤に染めた彼がいる。

『LINEの返信無いだけで、焦るなんて思ってなかった。自分で確認したのに次の日、話しかけれなくて…○○を見ることすら緊張しちゃって。でも、お陰で気がついた。俺は、○○が好きだって。』

「…勝利くん。ごめんね。そしてありがとう。よろしくお願いします。」
そう言えば、数秒ぎゅっとされて、体が離れる。
そして、頬に手を添えられ、一瞬だけ唇が触れる。

『…かわい、、』

「勝利くんはかっこいい…」

『そう言えばさっきなんで"佐藤くん"って呼んだの?それに、クラスメイトだしって、悲しかったんだけど…?』

「いや、勝利くんに好きなことバレたあと、気まずくなったから。この際嫌われようかなぁと。」
笑いながら言うと、ムッとした顔をされる。

『…ほんとに不安だったんだからね?!もう、、でも、良かった。俺のことを好きになってくれてありがとう。改めてよろしくね。』



彼との2度目のキスは、少し長く甘かった。