テストの憂鬱
テスト勉強としょーり君
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「はぁぁ」
気がつけばため息ばかり。
それもそのはず、憂鬱なテスト期間。
家に帰ればやらなくなっちゃうからって、1人で学校に残って勉強をする。
『あれ、○○ ちゃん?』
「あっ、佐藤くん。」
『1人で何してるの?』
「テスト勉強。家だとしなくなっちゃうからさ、」
『ふふ、偉いね。俺全然してないわ。俺もいいかな、、』
「…?う、うん。」
突然のことに歯切れの悪い返事をしてしまった。
『あれ?嫌だった?1人の方が捗るよね。俺みたいな仲良くもないクラスメイトいても邪魔だよね。』
「いや、大丈夫だよ。」
佐藤くんの席は私の席と遠いし、別々にすると思ったからそう答えた。
すると、隣の席に荷物をおいて座った。
「…えっ」
『○○ ちゃんが、いいよって言ってくれたから。』
「いや、あのちょっとビックリしちゃって。」
きっと隣に来ただけ、そう思って机に向かった。
広い教室で2人隣同士、シャーペンで書く音とページをめくる音だけ聞こえる。
解き進めていけば、ある問題で手が止まる。
「うーん。」
答えを見て、教科書片手ににらめっこするけどわからない。
私の手が止まっていることに気がついた彼。
『○○ ちゃん、どうしたの?』
席を立って私の横に立ち、前屈みになって問題を見る。
真横にある彼の顔は綺麗すぎる。男子とは思えないまつげの長さにカール。二重幅も綺麗。シュッとしたフェイスラインなのに柔らかそうな頬。
『おーい、○○ ちゃん。俺が教えてあげよっか?条件付きで笑』
「条件付き??」
『そう。俺のことを勝利って呼ぶ条件。』
「いやいや、そんな、、」
『じゃー、教えてあげない。』
席に戻ろうとするから、声をかけた。
「しょ、勝利…くん。」
『ん??』
「名前で呼ぶから、教えてください。」
『ふふ、いいよ。ちょっとシャーペン借りるね。』
すらすらと分かりやすく解説のメモを作り上げていく。
『この値がxに代入されて、、値が◆◆になるでしょ?』
「うん。」
『そこまで来たら、この式に代入して答えが出る!理解できた?』
「うん!ありがとう勝利くん。」
『いいえ、、いつか呼び捨てで呼んでね。○○ 。』
彼の耳は真っ赤に染まっていた。
その後もお喋りしながらするわけでもなく、分からないところがあればお互いに聞く程度。
あっという間に空に星が輝く時間になっていた。
「んーー!!あ、外暗くなっちゃった。そろそろ帰らないと。」
『結構捗ったなぁ。ありがとうね。』
「こちらこそ!!」
話ながら片付けていって挨拶をして帰ろうとした。
『ちょっと待って、、送る。』
彼は鞄に荷物を詰めて、駆け寄ってくる。
『帰ろっか、、外寒そうだなぁ。』
下駄箱にいけばひんやりとした風が通る。
「寒っ、、」
『寒いけど自販機行こう。』
疑問に思いつつ着いていくと、お金をいれてココアのボタンを押す。
『はいっ、暖かいと思う…よ。』
「悪いよ、そんな。勝利くんが、、!」
『いいの、貰って?』
彼から貰ったホットココアを飲めば程よい甘さでとっても美味しい。
「美味しい、、ありがとう。」
『あのさ!!明日もまた、一緒にいい?』
口許はマフラーに目元は前髪に隠れてて見えない。
電車に乗って、たまたま空いていた2席にすわる。
「…うん。1人でするより集中できたし、勝利くんが良ければ。」
『ふふ、明日も楽しみだなぁ。』
「私も、、」
『ほんとに??!!』
「いや、あの~。その。」
目をキラキラさせて私の方を向く彼。
『目、逸らさないでよ。ねぇ、○○ 。賭けしない?』
「賭け??」
『そう。テストの点数の合計、買った方の言うこと聞く。なんでもありね?』
「いいよ、でも、重いのはやめてね。」
『分かってるって、、』
「ほんとに??笑笑 」
そんな他愛もない会話をしてれば最寄り駅に着く。
「ここなんだよね、最寄り。じゃ、また明日!」
『あ、そーなの?俺はもうちょい先。笑 家まで送ろっか?』
「ううん、大丈夫。駅からすぐ家だから、、」
『そっか、近いかもしれないけど気を付けてね、また明日。バイバイ。』
彼と別れたあとも私の両手で持たれていたココアは少しだけ暖かい。
憂鬱なテスト期間なはずなのに、少しワクワクしてる自分がいる。
賭けに勝ったら、なにお願いしようかな…って。
きっと、彼がいれば頑張れる気がする。
この時、まだ私は自分の恋心に気がついていない。