帰り道 to you

片想いに気がつくしょーり君

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いつものように改札を出て歩き始める。
後ろから走る足音が聞こえる。

「わぁっ!!今、帰り??」

『はっ??って、お前かよ。』
俺の肩に後ろから飛び乗るかのように驚かしてきたのは幼馴染み。

「へへ、改札出たら見たことある歩き方と背中の人がいるなぁと思って…笑 近づいたらやっぱり、勝利だった」

『いや、普通に声かけろ。』
マフラーに顔を埋めてる○○ の頭をぺしっと手の甲で叩く。

「ったぁ。」
叩かれた場所を押さえながら見つめてくる。

『んふふ、いつもの事でしょ。とりあえずお帰り。』

「そーだけど、、ただいま。」

『ほら、帰るぞ、、』
そう声を掛ければとことこと俺の隣に並ぶ。
付き合ってるわけでもないけど、当たり前のこと。

高校生になって、離れたけど二人で帰るときの話す内容は変わらず"今日一日あったこと"
とりとめもなく話す。この時間が心地いい。

だけど、まだ気がついてなかった。俺にとって君がどれだけ大きな存在なのか。


「さむっ、」

『あっ、コンビニ寄る?』

「いいよ、早く帰ろっ、」

『寒いんだろ。俺が買ってやるから行こ。』
半ば強引にコンビニへ連れていって、肉まんを買う。

『ほら、、』
半分に分けた肉まんをそっけなく渡す。

「ふふ、ありがとう~。」
頬張る姿は小さい頃と変わらない。

『あっつ、、でも、うま。』

「んね、ってか、前もこんなことあったよね。」

『あったね。あの時も○○ が"あっつー"って、言ってさ。中学だったし部活帰りの買い食い禁止なのにね』

「なのにお財布持ってる勝利。」
そう、中学生の夏。2つに分けられるアイスを買ってあげた。ありがとうっていう顔もさっきと変わってない。

『はぁ?幸せそうに食べてたくせに?!』

「ご馳走さまでした。勝利、しりとりのり!」
俺の言葉を遮り、突然しりとりを始める。大体結果は君が負けるのも目に見えてるけど、相手しなかったら怒られる。
ほら、これ幼馴染みの特権的なやつでしょ?



数ヵ月後に前と同じように驚かしてくる幼馴染み。
前よりも可愛くなってて、少し嫌な予感。

「勝利ー!聞いて!!」

『なんだよ、もう、聞くから落ち着いてくれる?』

「わたしね、彼氏が出来た!!」
一瞬で頭の中が真っ白になる。

『あっ、そうなんだ。良かったな、、』
その後適当に嘘をついてその場を離れた。

歩いていれば小さい頃に見た景色。
二人で遠回りしたときに迷子になった道。
さすがにもうここからでも帰れるけど、、

そんな道を一人で歩けば思い出すのは君との思い出。
「目、瞑って歩くから勝利、手、ちゃんと持っててよ?」
ほんとに目を瞑りながら歩いてみたり。

「勝利…んーー。勝利でしょ?さとうしょうり、
しょっちゃん!」
満面の笑みで変なあだ名付けられたり。

雨が降ってきて開こうとした傘が壊れて笑ったり。

突然泣き出した○○ の涙の理由なんて分からないまま抱き締めたこと。

一緒に見たものが多すぎて、どこに言っても
思い浮かぶ笑顔と聞こえる声。
本当は相当好きだったんだって思わせられる。



いつもはしゃいで笑って、俺の隣には絶対○○ が居たあの日々は街灯の明かりじゃ照らせないぐらいキラキラしてたこと。今の俺には街灯の明かりすら眩しい。

『…なんで今、気がついたんだよ、』
泣くことなんてなかったのに、こんなにも溢れるのはきっと、○○ が特別な存在だってこと。

ポケットで震えるスマホ
『はい、もしもし、』

「あっ、勝利??どこにいるの?勝利のママが心配してるよ?」
時計を見ればかなりの時間。

『ホントだ、やばいね、、今からちゃんと帰るから…うん、もう切るわ。』
これ以上話したら泣いてるのがばれると思ったから、冷たくして切った。

"○○ 、ごめんね。ありがとう。それと、彼氏に幸せにして貰えよ?笑 "

通話時間は2分もなくて、メッセージを送れば既読がつく。
可愛らしいスタンプが返ってきて、そっと画面を閉じた。


___今さら遅いけど、○○ のことが好きだ。